ビジネスの場面でクライアントや現場で働く従業員にインタビュー行うケースが多々ある思いますが、物事の実態や相手の真意をなかなかうまく引き出せない経験をした人も多いのではないでしょうか。
私もコンサルティング業務を通じて様々な人とお話する機会がありましたが、慣れるまでは本当に聞きたい内容を引き出すことに苦労することも多かったです。
ただ単にこちらから質問繰り返すだけでは面接のような一方向性のやりとりになると、本音の部分まで聞き出すことは難しいかもしれません。
よく言われるコミュニケーションの鉄則として、"オープンクエスチョン(5Wを用いる疑問文のような質問)"を用いることで、次の会話に繋げることができると耳にする機会が多いです。
しかし、実際にこうしたビジネスの場面で用いると、本来聞きたい内容からずれてしまい時間切れとなってしまうことがあるかもしれません。
そこで、相手から引き出すことを前提とした話法として英会話で言うところの"付加疑問文"を使うとスムーズに聞き出しやすくなります。
"付加疑問文"とは、英語に文法で言う、文章の後に疑問文を付加することで、「◯◯だよね?」といったニュアンスになる疑問文です。
オープンクエスチョン的な疑問文との違いとして、この付加疑問文を相手にするためにはこちら側で一度完結した文章を提示する必要があります。
つまり、相手に聞きたい情報について仮説を持ち、その仮説を直接ぶつける話法です。
例えば、以下のようなコミュニケーションになります。
◆具体例
△パターン
聴き側:「店舗の売り上げが下がっている原因は何だと思いますか?」
答え側:「うーん、、、昔から来ているお客さんは変わらず来ているけど、新しいお客さんが取れなくなっているかな。」
◯パターン
聴き側:「店舗の売り上げが下がっているとデータで確認しておりますが、その要因は既存顧客の継続に課題があるケースが多いと思います。貴社でもそのような状況は見られますか?」
答え側:「そう言われて考えてみると、昔から来ているお客さんも来てはいるけど来る回数は少なくなっているかな。それよりも新しいお客さんが取れなくなっていることの方が気がかりだね。」
実際にぶつけてみると、その成否を確認できるだけでなく、異なる場合はその詳細な内容まで相手話し出すきっかけになりやすいです。
上記の具体例では同じケースを想定したやり取りの一例で、実情や相手の初期認識自体に差異はないです。
しかし、ぶつける仮説が異なっている場合であっても相手にもう一度考えさせる効果もあります。
ここまでの内容のように、実は疑問文を付加する前の文章の成否はあまり関係なく、議論を展開するための1つの指針として提示することに過ぎないです。
これは、行動経済学・心理学で言われる最初に提示した内容を元に思考が始まることであるアンカリング効果の意味合いが強いでしょう。
また、より高度なテクニックとして、あえて相手に引き出すために事実と逆の内容を聞くことで、より一層その事実を強く認識させることも可能です。
あくまで付加疑問文のみを使用する話法では、かえって相手に誘導 しているような印象を与えかねないため、"オープンクエスチョン"を繰り返しながら重要な論点に近づけるために"付加疑問文"という"クローズクエスチョン"を使用するのが良いでしょう。
この話法使いこなすためには常に仮説を持つ必要があるため、自然と考える力も鍛えられます。
結局のところ、付加疑問文は単なるコミュニケーションの手法を示しているのであって、仮説を持ってその検証として聞き取りを行うことが本質的に重要なのかもしれません。